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令和2年予備 行政法答案例

※内容の正確性は保証しません。参考程度にご覧ください。

 

令和2年予備 行政法

設問1

1 本件条項は、Bに対して、廃棄物処理事業に係る開発事業については、今後一切行わないという不作為義務を課すものである。そして、法律による行政の原理の下、国民の権利を制限し、義務を課す行政活動を行うためには法律上の根拠を必要とするところ、本件条項は義務を課そうとするにもかかわらず法律上の根拠を欠くのであるから、法的拘束力は認められないのではないか。

(1) 確かに、個人が同意さえすればその権利・自由を制限できるとすれば、行政を厳格に拘束することで個人の権利・自由の保護を図った法律による行政の原理の趣旨が没却されかねない。もっとも、事業者の側が自己の計算に基づき、任意に合意した場合にまで法的拘束力を一切否定する理由はない。

  そこで、公害防止協定は①義務の内容が具体的に特定され、②それが任意の合意によるものであり、③当該義務について定めた法令の趣旨及び、④比例原則・平等原則等の一般原則に反しない場合には、行政主体と事業者とが対等の立場に立って締結した契約として法的拘束力が認められると解する。

(2) 本件条項において、Bに課されている義務は廃棄物処理事業に係る開発事業を今後一切行わないという不作為義務であり、その内容は具体的に特定されているといえる(①)。

  また、確かにBは本件条項を含む開発協定の締結に当初難色を示していたものの、最終的には周辺住民との関係を改善することも必要であるとの自らの判断に基づき協定の締結に至っており、任意の合意によるものと評価できる(②)。

  そして、法令上事業者に開発行為を行う義務が課されているわけではなく、開発行為を行わないことは、事業者自身の自由な判断で行える性質のものであるし、開発許可が必要となるような開発行為を控えることは、良好な都市環境の保全・形成を図ろうとする法やこれに基づく条例の規定の趣旨にも合致する(③)。

  もっとも、本件条項によれば、開発行為の規模・内容や必要性の有無・程度等すら考慮されることなく、Bは今後一切新たな開発行為ができなくなることになる。このような義務を課すことはBにとってあまりに酷であり、比例原則に反する(④不充足)。

2 したがって、本件条項は行政主体と事業者とが対等の立場に立って締結した契約とはいえず、法的拘束力が認められない。

設問2

1 「処分」(行政事件訴訟法(以下法名略)3条2項)とは、公権力の主体たる国又は公共団体の行う行為の内、その行為によって直接国民の権利義務を形成し又はその範囲を確定することが法律上認められているものをいう。

(1)ア まず、Bとしては、本件通知は条例4条に基づいて、市長が優越的地位から行う一方的なものであるから、公権力性が認められると主張する。

 イ これに対して、A市は、本件通知は法や条例上の根拠を有しないため公権力性が認められないと反論することが考えられる。

ウ 確かに、条例4条は通知について直接規定しているわけではない。もっとも、事前協議は、事業者からの申出に対して市長の側が応じることにより行われるものであり、事業者の申出を拒絶し、事前協議を行わない場合には、通知によってその態度を明確にすることが予定されていると解される。したがって、本件通知には条例4条という法律上の根拠があるから、公権力性が認められる。

(2)ア そして、Bとしては、事前協議が拒絶されると開発行為に対して中止命令(条例11条)を受けるべき地位に立たされるため、直接具体的な法的効果が生じるといえ、本件通知は「処分」にあたるとの主張をする。また、仮に中止命令を受けるべき地位に立たされるとはいえなくとも、相当程度の確実さをもって中止命令がなされることになるし、救済の必要性が認められるから、なお「処分」にあたるとの主張をする。

 イ これに対し、事前協議がなされなかった場合も当然に中止命令が発せられるわけではないから、中止命令を受けるべき地位に立たされるとはいえず、相当程度の確実さをもって中止命令がなされるともいえないとの反論が考えられる。

 ウ 中止命令の発令は、協議の未実施(条例10条1号)、勧告(同柱書)、中止命令(条例11条)の各段階を経るところ、勧告・中止命令について定めた10条・11条は「できる」との文言を用いており、勧告・中止命令の発令には効果裁量が認められる。そうすると、単に協議が拒絶されただけでは、中止命令を受けるべき地位に立たされるとまではいえないと解される。もっとも、A市は本件条項においてBの新規開発行為を一切認めない態度を示しており、事前協議を行わなければ、開発を阻止するために中止命令を発する可能性は相当高い。そうだとすると、相当程度の確実さをもって中止命令がなされるとはいえると解する。そして、仮に中止命令の段階でしか争えないとすると、既に相当の資本を投下している事業者に酷であるから、救済の必要性も認められる。

2 以上より、本件通知は「処分」にあたる。

 

【感想】

公害防止協定というマイナー分野?が出たということで書いてみました。

自分が受験生で公害防止協定なんて出てたら面を食らっていたと思います。

公害防止協定が認められる要件は、予備試験受験段階では覚えていませんでした。

もし、本番で出ていたら、規範部分は法律による行政の原理の潜脱にあたらず、公序良俗に反しないならOKみたいな感じでごまかしていたかなと思います。公序良俗違反なら色々事情が書けるので。

処分性の方は、「Bの立場に立って」という問題文が迷いを生みました。これは、処分性肯定の立場に立って書けということなのですかね…。「処分にあたるか…検討しなさい」の部分を重視するとBの立場で書き始めて結論否定でもありうるんでしょうか。というのも、「Bの立場に立って」という留保がなければ自分はおそらく処分性を否定していると思うんですよね。まだ、勧告・中止命令のステップがあるので…。

問題文ではっきりしてほしいなと思います。

 

 

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