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平成25年予備 行政法答案例

※内容の正確性は保証しません。参考程度にご覧ください。

 

平成25年予備 行政法

設問1

1 Cは、設計計画変更命令(法17条1項)の非申請型義務付け訴訟(行政事件訴訟法(以下法名省略)3条6項1号)を提起し、仮の義務付け(37条の5第1項)を申し立てるべきである。

2(1) 法17条1項は、「特定届出対象行為」にあたるものの計画の変更命令について定めているところ、本件マンションの建築は「特定届出対象行為」にあたるので、「景観行政団体の長」(同項)は変更命令を発することが可能である。

   そして、かかる変更命令は、申請を前提にした処分ではなく、職権による処分であるから、設計計画の変更を求める住民としては、非申請型義務付け訴訟により変更命令を発するよう求めるのが適当である。

 (2) また、法17条1項の処分は「届出があった日から30日以内に限り」(法17条2項)可能であるとされているため、上記訴訟の終結を待っていてはこの期間を徒過してしまう可能性が高い。

   そこで、これを避けるため、仮の義務付けも併せて申し立てるべきである。

設問2

1 まず、非申請型義務付け訴訟の対象は「一定の処分」(37条の2第1項)でなければならない。そして、「一定の処分」にあたるためには、裁判所が判断可能な程度に特定されていれば足りると解されるところ、本件訴訟の対象は本件マンションの設計計画を変更する旨の変更命令として、裁判所が判断可能な程度に特定されている。

2 次に、非申請型義務付け訴訟を提起するためには、Cが設計変更命令を求めるにつき「法律上の利益を有する者」(37条の2第3項)でなければならない。ここで、「法律上の利益を有する者」とは、当該処分がなされないことにより自己の権利若しくは法律上保護された利益を侵害され又は必然的に侵害されるおそれのある者をいう。そして、当該処分を定めた行政法規が、不特定多数者の具体的利益を専ら一般的公益の中に吸収解消させるにとどめず、それが帰属する個々人の個別的利益としてもこれを保護すべきものとする趣旨を含むと解される場合には、そのような利益もここにいう法律上保護された利益にあたる。当該利益の有無は、9条2項に従って判断する(37条の2第4項)。

(1) まず、変更命令の根拠規定たる法17条1項は、「良好な景観」の形成のために変更命令を発することができる旨規定している。また、法1条、2条1項、6条も「良好な景観」の形成に着目しているし、法8条は「良好な景観」に関する計画を定めることができるとしている。そうだとすると、法は良好な景観を享受する利益を保護しようとしているといえる。

  しかし、「良好な景観」という利益は、特定性が低く拡散性の高い利益であるし、生命・身体等に比肩するほど高次の利益とはいえない。

  また、法16条は「景観計画区域内」において建築を行う場合に届出を必要とする旨を定めているが、景観計画区域はA市全域に及ぶ広範なものであるし、景観利益は地理的位置に応じて一様でないから、当該区域内の全ての住民の景観利益を個別的に保護する趣旨とは解されない。

  そして、法6条は住民の「良好な景観の形成」に関する施策への協力義務を定めるものの、法17条1項に基づく変更命令につき、意見陳述等の事前手続の規定は定められていない。

  そうだとすれば、上記利益は、あくまで一般的公益として保護されるにとどまり、個々人の個別的利益として保護されているものとは解されない。

(2) 以上より、Cは「法律上の利益を有する者」にはあたらず、原告適格を有しない。

3 また、非申請型義務付けの訴訟を提起するには「重大な損害を生じるおそれ」(37条の2第1項)も必要である。

  しかし、上述のようにCの主張すべき景観利益は法律上保護された利益にはあたらないので、これが害されたとしても「重大な損害」が生じるとはいえない。

4 加えて「他に方法がない」(同項)ことも必要である。「他に方法がない」とは、個別法において特別の救済手段が法定されていることをいうが、本件ではそのような事情はないため、この要件は満たす。

5 以上より、本件では原告適格および重大な損害の要件が満たされないので、Cは非申請型義務付け訴訟を提起することができない。

 

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