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平成23年予備 民訴法答案例

※内容の正確性は保証しません。参考程度にご覧ください。

 

平成23年予備 民事訴訟

1 まず、控訴裁判所としては、訴状に被告として記載されたYが平成22年4月3日の時点で死亡していたことが、どのような影響を与えるのか検討すべきである。

(1) まず、訴訟係属は、二当事者対立の構造が生じる時点たる、訴状の送達(民事訴訟法(以下法名省略)138条1項)により生じると解するところ、本件では4月7日に訴状が送達され、訴訟係属が生じている。

  そうすると、Yは4月3日に死亡しているので、仮にYが当事者であれば、二当事者対立の原則という訴訟要件を欠いたまま判決がなされたこととなり、第一審判決(以下「本件判決」という)は名宛人なき無効判決となるのが原則である。

  そこで、本件訴訟における当事者は誰かが問題となる。

 ア そもそも、当事者か誰かは、訴えの提起後直ちにかつ明確に判断する必要があるとこ ろ、訴えの提起直後においては、訴状の記載がもっとも基準として明確であるから、訴状の記載を基準とすべきである。

 イ 本件では、被告の記載はYとなっているので、Yが当事者である。

 ウ そうだとすれば、本件判決は無効となるのが原則である。

(2) もっとも、Zは既にYが死亡した事実を認識しているにもかかわらず、Yの死亡した事実を告げないまま訴訟追行を続け、判決を受けている。さらに、ZはY死亡の事実を隠すため、「Yは重病で動けない」といった虚偽の発言まで行っている。

   また、判決を無効とすると、従前の訴訟追行が無駄となり、訴訟経済、当事者間の公平にも反する結果となりかねない。

   そこで、控訴裁判所は本件判決をZに対する有効な判決と扱うことができないか。

ア この点について、被相続人が死亡したにもかかわらず、相続人が当事者にならないまま訴訟追行を続け判決がなされた場合には、当事者の公平の観点から、相続人が後に当事者は死者である被相続人であったとして判決の無効を主張することは信義則上(2条)できないと解する。

  そして、かかる場合には、相続人は、判決効が「当事者」(115条1項1号)として自己に及ぶこともまた信義則上否定できないと解する。

イ したがって、控訴裁判所は、本件判決を相続人Zに対する有効な判決として扱うことができる

(3) そうだとすれば、第一審の判決書に記載された「原告X、被告Y、法定代理人Z」は誤記となるため訂正が必要であるが、控訴期間内(285条)になされた控訴人をZとする本件控訴は適法である。

  したがって、控訴裁判所は原告X、被告Zとして審理すべきである。

(4) そして、Zは、Yがすでに死亡していたという事実の主張以外は、第一審と同様の主張をしているのであるから、控訴に理由がないとして、控訴棄却判決(302条1項)をすべきである。

 

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